雙峰祭2025のコーヒーカードについて

この記事は、かふぇおれ Advent Calendar 2025 の23日目の記事です。
22日目はクサDDさんの記事『珈琲・俺式の濃度を測ってみた』でした。

はじめに

 皆さんどうも初めまして。珈琲員(カフェイン)のAstalumと申します。珈琲・俺は、毎年雙峰祭に出店している団体です。ただ珈琲を提供するだけでなく、「この場でしか体験できない時間」を大切にしながら、店舗づくりを行ってきました。味、香り、空間、接客、そして記憶に残る体験——それらすべてをひとつの「作品」として構成することを目指しています。その中でも、今回は コーヒーカード について取り上げます。
 コーヒーカードには、珈琲員による豆の解説や背景、味わいのイメージなどが記されています。飲んでいる最中に眺めてもよし、家に帰ってから見返してもよし。珈琲を飲んだ時間そのものを、あとからもう一度味わえるような存在です。今回の出店では 全10種類のコーヒーカード を製作しました。本記事では、それぞれのカードに込めた思いやニュアンス、イメージについてお話ししていきます。

 今年の店舗にご来店いただいた方は、ぜひお手元のコーヒーカードと見比べながら読んでみてください。また、来られなかった方にも、店舗の雰囲気を少しでも感じていただけたら嬉しいです。

目次

1. ブレンド
 1.1. 珈琲・俺ブレンド
 1.2. 縁ブレンド
 1.3. も花も香ブレンド
2. グルメ豆(シングルオリジン)
 2.1. キリマンジャロ
 2.2. ピンクブルボン
 2.3. トラジャ
3. アイス
 3.1. アイスコーヒー
 3.2. アイスカフェオレ
4. 限定
 4.1. エルパライソライチ
 4.2. ブルーマウンテン

1. ブレンド

 まずは、珈琲・俺が特に力を入れている ブレンドコーヒー からご紹介します。
ブレンドは、単なる豆の組み合わせではなく、「珈琲・俺らしさ」を最も直接的に表現できる存在です。今年は、それぞれ異なる背景と物語を持つ3種類のブレンドを用意しました。

1.1. 珈琲・俺ブレンド(かふぇおれブレンド)

最初は 珈琲・俺ブレンド(俺ブレ)
このブレンドは、珈琲・俺の20周年を記念して誕生し、以降長年にわたって受け継がれてきた、まさに 珈琲・俺の象徴 とも言える存在です。

コンセプトは「伝統」

毎年メンバーが入れ替わり、店舗の雰囲気やテーマカラーが変わっても、このブレンドだけは変わらず提供され続けています。その意味で、俺ブレは「伝統」そのものだと感じています。

カードのデザインも、その点を強く意識しました。珈琲・俺のロゴに使われている2色を基調に、影をつけて立体感を出すことで、長い年月を積み重ねてきた重みや奥行きを表現しています。派手さはありませんが、どっしりとした安心感のある一枚に仕上げました。

1.2. 縁ブレンド(ゆかりブレンド)

次は 縁ブレンド
このブレンドは、構成員による 「Blend Competition 2025」 で優勝したブレンドです。つまり、今年の珈琲・俺を象徴するブレンドのひとつと言っても過言ではありません。

人と人のつながり、偶然の出会い、ふと立ち寄った店で飲んだ一杯——そうしたものが、後になって心に残ることがあります。

コンセプトは「人魂」

珈琲が好きな方も、あまり飲んだことがない方も、コクと香りを楽しめる珈琲です。このいっぱいを通して珈琲・俺が心の片隅に残ると嬉しいです。珈琲・俺を訪れる皆様との縁(ゆかり)がずっと続いていきますように。(製作者コメント)

このコメントを読んだとき、「縁」という言葉が単なる関係性ではなく、もっと深いところで結ばれるものとして語られているように感じました。

背景色には、今年のテーマカラーである 深藍色 を使用しています。夜の闇の中で、静かに、しかし確かに存在を主張する——そんなイメージです。

1.3. も花も香ブレンド(もかもかブレンド)

ブレンドの最後は も花も香ブレンド(もかもか)
このブレンドは、2年前の雙峰祭で優勝ブレンドとして提供されたものです。

当時の店舗を思い返すと、どこか儚く、しかし強く印象に残る時間だったように思います。

コンセプトは「線香花火」

多くの人に好まれる、コーヒーの原点、エチオピア。その伝統的な製法と誇り高き香りに、静かな敬意をそえました。一口めは穏やかに、そして冷めていくにつれ、花がひらくように香りと甘みがふくらんでいきます。一口に、伝統と誇りを込めて。(製作者コメント)

最初は控えめで、時間が経つにつれて少しずつ広がっていく香りと甘み。その変化は、まさに線香花火がゆっくりと花開いていく様子と重なります。

デザインでは、2年前の店舗を「火元」とし、そこから立ち上る煙が現在の店舗へと溶け込んでいく様子を表現しました。色は各年のテーマカラーをグラデーションでつなぎ、時間の連続性を意識しています。

2. グルメ豆(シングルオリジン)

続いては グルメ豆(シングルオリジン) です。
こちらは、今年の執行代が数多くの候補の中から選び抜いた豆たちです。ブレンドとは異なり、豆そのものの個性を楽しんでもらうことを目的としています。

カードデザインもそれに合わせ、白背景+単色 という極めてシンプルな構成にしました。余計な装飾を排し、豆の個性が際立つようにしています。

2.1. キリマンジャロ

キリマンジャロは、タンザニアで収穫されるアラビカ種の代表的な銘柄です。
「キリマンジャロ=酸味」というイメージを持つ方も多いと思いますが、今回使用した豆は、ただ酸っぱいだけではなく、輪郭のはっきりした酸味が特徴です。

フルーツのような甘酸っぱさというよりは、クエン酸を思わせる、少し尖った方向性の酸味。その一方で、焙煎度をやや深めに設定することで、酸味とコクのバランスを取り、飲みやすさも意識されています。

爽やかさの中に力強さがあり、目が覚めるような印象を与える一杯です。
こうした味わいから、カードカラーには 少しくすんだ黄色 を選びました。

2.2. ピンクブルボン

ピンクブルボンは、レッドブルボンとイエローブルボンの自然交配によって生まれた、非常に希少なアラビカ種です。
成熟すると淡いピンク色になることから、この名前で呼ばれています。

味わいの特徴は、フルーティーな酸味とやさしい甘み、そして紅茶を思わせる華やかな香りです。口に含んだ瞬間に広がる香りは非常に印象的で、「香りを楽しむ珈琲」と言ってもよいかもしれません。

飲み進めるにつれて、酸味が前に出すぎることなく、甘みと調和していくため、珈琲があまり得意でない方にもおすすめできる一杯です。
これらの要素から、カードカラーには 淡いピンク色 を採用しました。

2.3. トラジャ

トラジャは、インドネシア・スラウェシ島で収穫される珈琲豆です。
深みのある味わいで知られており、今回のラインナップの中では、最も「重厚感」のある一杯と言えるでしょう。

キャラメルやアーモンドを思わせる濃厚でなめらかな甘みがあり、ブラウンシュガーやカカオのような、少しビターな香りが後味として残ります。酸味は控えめで、落ち着いた印象を受ける珈琲です。

ゆっくりと時間をかけて飲みたくなる味わいで、静かな余韻が長く続きます。
こうした特徴から、カードカラーは 茶色 を選びました。

3. アイス

次は アイスドリンク です。
雙峰祭は多くの来場者で賑わい、暑さを感じる場面も少なくありません。そんな中で、スッと飲めて、なおかつ珈琲らしさをしっかり感じられることを意識して構成しました。

3.1. アイスコーヒー

アイスコーヒーに使用しているのは、ブラジルで収穫される珈琲豆の最高等級、「ブラジル No.2」 です。
しっかりとした苦味と、香りのバランスが良く、アイスにしたときにも味がぼやけません。

冷やすことで苦味が立ちすぎないよう調整しつつ、後味はすっきりと仕上げています。暑い中でも飲み疲れしない、しかし確かに「珈琲を飲んだ」と感じられる一杯です。

そのスッキリとした印象を表現するため、カードデザインは モノクロ にしました。余分な色を排し、クリアな味わいを視覚的にも伝えています。

3.2. アイスカフェオレ

アイスカフェオレには、エチオピア・アリーチャ G1 を使用しています。
ナチュラル製法による、非常に香り高い珈琲豆で、フルーティーさとやさしい甘みが特徴です。

この豆の個性を損なわないよう、牛乳との比率には特にこだわりました。珈琲の香りが埋もれず、それでいてミルクのまろやかさがしっかり感じられる、絶妙なバランスを目指しています。

カードデザインでは、茶色と白のグラデーションを用いることで、完全には混ざり切っていない状態を表現しました。これは、味わいの中に複数の要素が共存していること、そして一口ごとに印象が変わることを意図しています。

4. 限定コーヒー

最後は 限定コーヒー です。
珈琲・俺では毎年、特別な豆や製法の珈琲を「限定」として提供しています。扱いの難しさもありますが、その年、その場でしか出会えない体験を届けたいという思いから続けている取り組みです。

4.1. エルパライソライチ

エルパライソライチは、コロンビアのエルパライソ農園で収穫された珈琲豆を、サーマルショックウォッシュド製法 によって加工し、ライチの風味を際立たせた珈琲です。

一口飲んだ瞬間に広がる、ライチを思わせる華やかな香りは非常に印象的で、初めて飲む方は驚かれるかもしれません。それでいて、人工的な香りではなく、自然に珈琲と溶け合っているのが特徴です。

コンセプトは「夏の空」


ライチという果物が持つ季節感、そして青空と太陽のイメージを重ね、空に果実が浮かんでいるようなデザインにしました。雙峰祭が秋である点については……今回は目をつぶっていただければと思います。

4.2. ブルーマウンテン

ブルーマウンテンは、ジャマイカのブルーマウンテン山脈の中でも、特定の条件を満たした地域で収穫された珈琲豆にのみ与えられる名称です。
世界的にも評価が高く、「珈琲の王様」と称されることもあります。

味わいは非常にバランスが良く、突出した酸味や苦味はありません。その代わり、すべての要素が静かに、しかし確かに存在しています。飲み終えたあとに残る余韻は長く、深く、落ち着いた印象です。

コンセプトは「深海」


光の届かない静けさの中に、計り知れない深みを感じさせる——そんな一杯です。

おわりに

コーヒーカードは、珈琲を飲むという一瞬の体験を、あとから何度でも思い出せる形 にしてくれる存在です。飲んでいる最中は味や香りを楽しみ、時間が経ってからカードを見返すことで、その日の空気や会話、感情までもがよみがえります。

珈琲・俺は、そうした記憶の積み重ねによって成り立っている場所だと思っています。

また来年の雙峰祭でも、皆様とお会いできることを楽しみに、店舗でお待ちしております。

以上、かふぇおれ Advent Calendar 2025 の23日目の記事でした。
24日目はぶちぶち.さんの記事『2025年OREが駄弁っているだけ』です。